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ビーズの表面に「眼」をイメージする点や同心円、眼型モザイク等の装飾を施したもの。「眼」のような文様のある石(瑪瑙など)をそのまま用いたビーズや、「眼」をイメージする文様を彫ったビーズもアイ・ビーズに含まれる。
「眼」をイメージしたビーズは三千数百年前の古代エジプト時代には既に作られており、地中海沿岸・イスラム圏をはじめとして世界各地で見られる。
アイ・ビーズは古代から護符の一種として用いられたが、これは世界各地に見られる「邪視」信仰("邪眼", "evil eye")と関係している。「邪視」とは、人や物に災いをもたらす超自然的な力をもつ目、および、その力の行使や作用のことであり、邪視除けのために様々な護符が用いられた。なかでもアイ・ビーズは代表的な護符である。
なお、近世のヴェネチアでも各種のアイ・ビーズが作られたが、こちらは宗教的・信仰上の意味は薄い。
大阪のとんぼ玉作家(1918-1984)。海外ではGlass Bead Masterとして極めて高い評価をうけ、その作品はコーニング・ガラス美術館(NY州コーニング)にも収蔵されている。
"The History of Beads"、"Collectible Beads"、"世界のとんぼ玉"に作品掲載。
大阪府富田林市のとんぼ玉作家(1920-1990)。氏の師匠の先々代は、チェコ人からとんぼ玉の作り方を伝授してもらったといい、ヨーロッパの玉作りの伝統をひくとのこと(参考:里文出版「きらめくビーズ」等)。古代玉の復元制作等に力を注いだ。
"世界のとんぼ玉"、"バーナーで作る手作りとんぼ玉の本"に作品掲載。
とんぼ玉作家。大阪府から後に三重県に移転。父は飯降喜三郎氏。古代玉の復元制作等に力を注いだ(参考:里文出版「きらめくビーズ」等)。Glass Bead Masterとして海外での評価も高い。
"トンボ玉 新装版"、"バーナーで作る手作りとんぼ玉の本"に作品掲載。"トンボ玉 新装版"では、氏によるフェニキアの人頭玉、ローマンのモザイク玉・人面玉、捩り玉(正倉院玉)、アイヌ玉の再現製作が紹介されている。
側面に縞模様のあるビーズ。
断面の直径が3-5ミリくらいの、より細い物はカンネッテcannetteと呼ばれる。
側面だけ見るとシェブロンと似ているが、カンネは断面に層状の鋸歯文様が見られない。
カンネ(カンネッテ)がシェブロンと呼ばれていることがあるが、本来の呼び方ではなく、構造も作成法も異なる。
ガラスが地中に長年埋まっている間に表面が侵食されて化学変化を起こし、銀色や虹色、玉虫色に輝く現象。金色の場合、金化と呼ばれる。風化現象の一種。
一般には、酸化鉛を多く含んだ鉛クリスタルガラスのことを指すことが多い。
鉛の含有量が増えると屈折率が高くなるため、カッティングによる光の反射が美しい。透明度も高い。たたくと響きの良い澄んだ音がする。
ソーダガラスに比べ、冷えるとすぐに固まり、軟らかいため、コールドワーク(冷え固まったガラスに彫刻、カッティング等の細工を施す)に適しているが、衝撃で割れやすい。
本来は、ヴェネチアで15世紀に発明された水晶(クリスタル)のような無色透明なソーダガラスを指し、ヴェネツィアン・クリスタルガラスとして珍重された。
17世紀初めのボヘミアで作られた、それ以上に透明度の高いカリ・クリスタルガラスはボヘミアン・クリスタルガラスとしてもてはやされた。鉛クリスタルガラスは、17世紀後半イギリスで作られた。
ビーズの材料として用いられる、細く引き延ばしたガラス棒。英語ではケイン(ケーン, cane)、イタリア語ではカンナ(canna)。
穴の開いたものは、そのまま適当な長さにカットして研磨するとビーズになる。好みの直径になるまで引き延ばすことにより、大粒からけし粒サイズまでのビーズを作ることができる。
穴のないものは、溶かしてビーズの細工に用いる。ビーズの素地を作ったり、ごく細く引き延ばしてビーズ表面に装飾を施したりする。断面に模様のあるもの(canna millefiori / millefiori cane)は薄く輪切りにし、ビーズの表面に貼り付けて使われる。
断面に鋸歯文様のあるビーズ。何層も色ガラスを重ねて、独特の複雑な工程を経て作られる。最後に、多層のガラス棒(canne, cane)を研磨することで下に重なった色を表に出し、独特の美しい文様を作り出す。元のcaneが同じでも、研磨の違いにより表情の異なるビーズができる。
15世紀末、ヴェネチアのムラーノ島で生み出されたとされる。アフリカ交易用に数多く作られた。北米との毛皮交易にも使われた。オランダにもその技術が流出し、同様のものが作られた。
初期のものは7層。よくみかけるのは4層-6層の青系のもの。層が多いほど手間がかかり、価値が高い。
Chevron(シェブロン:山型)の名は、穴の部分を上から見たときの色の層のジグザグの形状に由来。星の形にも見えることから、スター・ビーズStar Beadsとも呼ばれる
"Rosetta(ロゼッタ)"とも呼ばれる。古代文様ロゼッタrosetta(ロゼットrosette:花文)に由来する名。
1893年にヴェネチアの16のビーズ工房が統合されてヴェネチア・コンテリエ産業会社(Societa' Veneziana Conterie, 1893-1992)ができ、ヨーロッパ向けに、従来と異なる色使いのシェブロンが作られた。2色のみのシンプルなものが多く、仕上げも光沢を出す等、アフリカ交易用とは異なる。
珪酸、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、石灰石(炭酸カルシウム)を主原料としたガラス。
比較的軽く、冷えて固まるまでの時間が長いため、ホットワーク(ガラスが冷え固まらないうちに成型・細工する)に適している。
酸化鉛を多く含むガラス。
17世紀イギリスで開発された透明度の高い鉛クリスタルガラスが有名だが、古代中国や江戸時代の日本でも作られた。江戸時代のガラスは時に50パーセントを超える鉛を含有する。
比重が高いため、重量感がある。
経年変化・風化現象の一種で、ガラスが長年土中に埋まっている間に石灰石(炭酸カルシウム)の結晶が沈着したもの。
「パッティーナ」「古色」とも訳されるが、正確には、「パティナ」イコール「古色」と言って良いかどうかは疑問(「パティナ」以外の経年変化もしばしば「古色」と呼ぶため)。
珪石の粉末を固めて胎とし、その上にガラス質の釉(うわぐすり)をかけて焼成したもの。
紀元前41世紀頃からメソポタミアで、やや遅れてエジプトで作られ始めていたといわれている。
中国でも戦国時代(紀元前403年-221年)にファイアンス製のとんぼ玉が作られた。
中心に不透明な白いガラス、その上に透明な色ガラスを被せた2層構造のビーズ。表面の色の発色を良くすることを意図したもの。ビーズの中心部分が白いことがその名の由来。同様のビーズで、中心部分が淡い黄色のものはイエローハートと呼ばれる。
16-17世紀からヴェネチアで作られ、その後、オランダやフランス、チェコスロバキアでも生産されるようになった。18世紀に入ると量産され、交易品として、アフリカ、北米、中南米、東南アジア等、世界各地へ運ばれた。インド、中国でも作られた。
最も多いのが赤いホワイトハートだが、色の濃淡、ヴァリエーションは様々である。その他、青、黄、オレンジ、緑色等がある。
断面に文様のあるガラス棒(カンナの一種)を輪切りにしたチップを、ベースとなるガラスに貼り付けたモザイクビーズ。
ミルフィオリmillefiori(イタリア語で「千の花」の意)の名が一般的。アフリカではチャチャソーとも呼ばれているよう。
通常のミルフィオリは一粒ずつ作られるが、アフリカ交易用のミルフィオリは、大量生産するために、高度な技術を用いて30cm程の長さのものを作り、2-5cmにカットした。
カンナを作る業者と、カンナを購入して玉に貼り付ける業者は別々だった。
1911年に設立されたエルコレ・モレッティ(Ercole Moretti & F.lli)社は、ヨーロッパ向けに、洗練されたデザインのミルフィオリを製作した。筒型・オーバル型だけでなく、しずく型、正方形等のビーズも作られた。丁寧に研磨し、光沢のある質感で、デザインもモダン。現在でも人気が高い。
小さな熱源(現在はガス・バーナーが主)で様々なガラス棒を熱し溶かしながら細工する技法。ビーズやミニチュアガラス等を作るのに使われる。
当初(近世のヴェネチア等)はオイルランプの炎を使ったことからランプ・ワークと呼ばれる。時代が下がるにつれてバーナーを用いるようになった。
日本ではバーナー・ワークの名が一般的。