~とんぼ玉~ Ancient & Antique Glass Beads

古代から近代のアンティークのとんぼ玉をご紹介します

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インドネシア

インドネシアのとんぼ玉は一般に「ジャワ玉」と呼ばれています。
「ジャワ玉」の歴史については、各国の研究者により、見解が大きく異なっています。
欧米では、13世紀末から16世紀(マジャパイト王国時代)、もしくは、その少し前のものとされています(『The History of Beads』等)。インドネシアの研究者は、9-10世紀頃(シュリーヴィジャヤ王国時代)と考えています。日本の研究者は、もっと時代が下って16-18世紀のものではないかとしています。

制作地についても、インドネシアで制作されたものであるとか、イスラム圏やヴェネチア等から流入したとか、様々な説があり、はっきりしていません。

ジャワ玉 鳥玉 Indonesia, Bird beadジャワ玉 鳥玉 Indonesia, Bird bead 鳥 玉(マニックブルン) 

Indonesia, 13th-16th century ?
Bird bead

Hight: 1.3cm Diameter: 1.4cm

濃紺のクリア(透明)の胎。
片面に鳥、もう片面に太陽(サン・バースト)または星のモチーフ。
有名なジャワ玉のひとつです。


インドネシア細連 Indonesia, beads イ ンドネシア細連

Indonesia, 13th-16th century ?

3-5mm大

インドネシア発掘の小玉。

・ ブルー・ライトブルー:クリア(透明)のガラス。現地(ジャワ)でつくられたもの?
・ 赤褐色:スマトラ発掘。インドから流入したといわれ、この赤褐色は「インディアン・レッド」と呼ばれます。
  >>インドのビーズ生産について


インドネシア細連 Indonesia, beads インドネシア細連 

Indonesia, 13th-16th century ?

ジャワ島発掘の小玉。

□■番外編■□

ジャワ 鳥モザイク玉 レプリカ Indonesia, Bird mosaic bead (replica)ジャワ 鳥モザイク玉 レプリカ Indonesia, Bird mosaic bead (replica) 鳥モザイク玉 レプリカ

Indonesia
Bird mosaic bead (replica)

Hight: 1.9cm Diameter: 2.2cm

鳥モザイク玉。ジャワ島東部から発掘されている有名なジャワ玉ですが、これは現在インドネシアで作られているレプリカです。
大変出来が良いので、番外編として掲載します。

穴の中はモザイクではなく、多くのジャワ玉と同様、モザイク貼付玉です。この鳥は家鴨(アヒル)だと言われています。

インドネシアのビーズ制作技術は高く、ものにもよりますが、素人にはアンティークとレプリカの区別が難しいことも多いです。
レプリカ、現代物として楽しむ分には大変良いのですが、時に、アンティークと偽って現代物が販売されていることがあるので要注意です。

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* マジャパイト王国 Majapahit
1293-1520頃。ジャワ中部、東部を中心に栄えたヒンドゥー教の王国。最盛期は14世紀半ば。15世紀後半、イスラム勢力の侵入により衰退。
* シュリーヴィジャヤ王国 Śrīvijaya
7-14世紀頃。スマトラ南部を中心とした王国。海上交易の要衝として繁栄。仏教を保護した。7世紀後半から8世紀半ばおよび10世紀が最盛。マジャパイ トの台頭で衰亡。

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<書籍紹介> ~ジャワ玉の本~
Manik-Manik di Indonesia: Beads in Indonesia
Manik-Manik di Indonesia 表紙
Sumarah Adhyatman & Redjeki Arifin
ISBN: 9794282782; 1996年; 2nd Edition; 164ページ 21cm×24cm
出版社 Djambatan 定価 Rp 45000
タイトルどおり("Manik-Manik di Indonesia" は "インドネシアのビーズ"の意味)、インドネシアで発行された、インドネシアのビーズの本です。
ガラスビーズ以外のビーズも掲載されています。インドネシア語&英語。カラー写真が結構掲載されています(155枚)。
1993年発行の本(初版 ISBN:9794281697)の第2版。
日本では入手困難な本です。私も持っておりません(時折、日本国内のネットオークションや、欧米のネット古書店で出品されています)。ですが、インドネシアのとんぼ玉(ジャワ玉)・ビーズのみの本はほとんどありませんので(私の知る限りではこの本が唯一)、参考までに書誌情報とともにご紹介しておきます。

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インドの交易用ビーズ

古代インドのビーズ生産については資料が少ないのですが、紀元前7世紀頃(一説では紀元前10世紀頃)からガラスビーズの生産が行われ、紀元前3世紀頃には量産されるようになったと言われています。
瑪瑙等の石製のビーズはガラスビーズよりも前から生産されていました。

これらのビーズは、主にアフリカ交易用の交易品として使われました。
インドとアフリカ東岸の間では、古代から季節風(貿易風 Trade Wind)を利用した季節風貿易が行われており、これに用いられたため、"トレード・ウィンド・ビーズ Trade Wind Beads"と呼ばれています。"Indo-Pacific beads"とも呼ばれます。

同様のビーズは東南アジア(タイ、ジャワ、スマトラ、マレーシア等)にも流入し、特に、"インディアン・レッド"と呼ばれる赤褐色のビーズは、東南アジア向けに輸出されていました。

インドの交易用ビーズは、17世紀頃までアフリカ等に輸出されていましたが、17世紀半ば以降、ヨーロッパ各国による植民地化が盛んになってからは、インド玉に替わりオランダ玉等が交易に使われるようになりました。

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