Home > とんぼ玉の製作技法
(開放鋳型による)鋳造玉。
型に細かく砕いたガラス塊を充填し、加熱して成形する。
BC16-14世紀のレヴァント・メソポタミア・ミケーネ、BC14-13世紀のミケーネ、BC13世紀のアナトリア、BC12世紀のイラン等でみられる。
19世紀中頃から現在までのアフリカでも、この技法によるビーズが作成されている。
金属棒に耐火粘土等の剥離剤を塗り乾燥させた後、これを芯として溶けたガラスを巻きつけ、火の上であぶり、玉を任意の形に成形する。
初期のガラス玉では、レヴァント・メソポタミア・ミケーネがBC15世紀初頭から鋳造法と芯巻法を併用していたのに対し、やや遅れてガラス製作が始まったエジプトでは、芯巻玉が主流だった。
芯巻玉の代表的なものは、芯巻形象玉(BC15-13世紀 エジプト)、芯巻人頭玉(BC7-1世紀 フェニキア)、重層貼眼玉(BC5世紀-)、モザイク嵌眼玉(BC5世紀-)、モザイク貼付玉(BC2世紀-)等。
あらかじめ作っておいたモザイクガラス板を加熱し、折り込んだり、丸めたりして玉にする。
穴の中もモザイク、また、玉を切ると中までモザイク(モザイク貼付玉と異なる点)。
断面に文様のあるモザイクガラス棒を輪切りにしたものや、薄く切ったモザイクガラス板を、玉の表面に貼り付ける。
1.ヘレニズムのモザイク貼付玉
人面、花、格子、ロータス等の文様のモザイクを芯巻ガラスに貼付した玉。
古くはエジプト、プトレマイオス朝のBC2世紀から紀元前後のローマ領レヴァントやエジプト等の東部地中海域製と考えられ、黒海沿岸にも多数流入している。
スカンジナヴィア等、9-10世紀の北欧で出土するヴァイキング交易玉の中に、同様の技法のモザイク貼付の大玉もあるが、製作地は確定していない。
2.7世紀以降のモザイク貼付玉
薄く切ったモザイクガラス板を玉の表面に貼り付けたもの。
7世紀以降のイスラム圏や、9世紀以降のインドに初期形態が見られ、16世紀以降のヴェネチア玉(ムッリーネ=ミルフィオリ)や17世紀以降のオランダ玉、およびジャワ玉等で多数見られる。
一見モザイク折込玉と似ているものもあるが、こちらは中までモザイクではない。
溶かしたガラスを金属棒の先に巻き取り円筒形にして、細く引き伸ばしカットする。
この技法により、ビーズを大量生産することが可能になった。
溶かしたガラスを吹き竿の先に巻き取り、竿から息を吹きいれて形を作りあげる。
BC1世紀にシリアで発明された技法。
この技法により、ガラス製品が量産されるようになり、それまで王侯貴族の占有物であったガラス製品が、一般にも広く使われるようになった。
溶けたガラスを吹き竿の先につけ、型の中に吹き込んで成形する技法は、型吹き法と呼ばれる。
原則として相似形の二つの型の間に溶けたガラスを挟み込んで、型文様をつける。冷めてから型から取り出し、徐冷処理を加える。型からのはみ出し部分(バリ)がある。
18世紀以降のボヘミア、フランス、ドイツ等でよくみられる。
芯巻ガラスに重ね貼り付けして眼型文を施した玉
あらかじめ作っておいた同心円モザイクガラス棒を輪切りにした眼型文を、芯巻ガラスに貼付(象嵌)した玉(技法としてはモザイク貼付玉の一種になる)。
古くは、BC5-3世紀のフェニキア、レヴァント等の東部地中海域製のものがあるが、その数は同時期の重層貼眼玉ほど多くなく、分布域もアケメネス朝ペルシアから黒海北岸あたりまでと比較的狭い。
この貼眼の上に捻線(トレイル・デコレーション)を巻きつけた玉もあり、5世紀以降の地中海域や欧州で出土している。10世紀以降のヴァイキング交易玉にもこの技法の玉が含まれている。