とんぼの眼玉
~とんぼ玉~ Ancient & Antique Glass Beads
古代から近代のアンティークのとんぼ玉をご紹介します
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[参考書籍] 古代ガラス―銀化と彩り―
コラム01. ガラスの銀化とは?
ガラスの「銀化」という言葉をご存知でしょうか。
古代ガラスや古代ビーズを見たり、調べたりすると、すぐに、「銀化」という言葉にぶつかると思います。
銀化したガラスは、銀色や虹色、玉虫色に輝き、大変美しいものです。金色の場合は、「金化」とも呼ばれます。英語ではiridescence(イリデッセンス)と言います。
中国漢代の耳飾
特に有名、かつ、日本で人気のあるのはローマン・グラスでしょう。
紀元前1世紀から紀元後4世紀にローマ帝国内で作られたガラスをローマン・グラスと呼び、とんぼ玉も作られていますが、吹きガラス法で作られた小瓶や壺には世界各地に熱烈なコレクターがいます。
さて、「銀化」「金化」についてです。
これは何なのかというと、
ガラスが地中に長年埋まっている間に表面が侵食されて化学変化を起こしたもので、風化現象の一種です。
「銀化」「金化」といっても、ガラスが金銀に変化するわけではありません。
銀色、金色に、時には玉虫色に、煌めいてはいるのですが。
中国漢代の耳飾
もう少し詳しいご説明を。
土の中にガラスが埋まっている間に、ガラスに含まれるアルカリ分や珪酸塩が、土中の水分や酸などにより溶け出し、周囲の元素と化学変化を起こして、ガラスの表面に雲母状の薄い膜を形成します。
長い年月の間に多層の薄膜が形成され、光を乱反射したり、プリズムのように光を屈折させるため、金色や銀色に輝くのです。
銀化したガラスを水中に入れると、一時的に銀化現象は見えなくなります。これは、上記の化学変化・風化によってできた微細な空洞に、水が入り込むためです。光の乱反射がなくなるんですね。
乾燥すると再び美しい銀化が現れます。
銀化は発掘された古代ガラス全てに見られるわけではなく、気候・温度・湿度・土壌成分など様々な条件が重なって起こります。
一方、条件によっては比較的新しいガラスでも起こり得るそうです(アフリカのトレード・ビーズ等)。
ちなみに、日本では銀化を好む人が多いですが、欧米では銀化を好まず、除去するのが慣例になっているそうです。
ところ変われば、というか、好みは色々というか。きれいだと思うんですけど。
なお、人工的に真珠色や虹色を出したガラス(ガラスの表面に金属酸化物を焼き付けたもの)は、ラスターガラスといわれ、自然の銀化と区別されます。
(2005.6.11)
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<書籍紹介>
- 古代ガラス―銀化と彩り―
- 谷一 尚 塩田 紘章
- ISBN: 4898061591; 2001年; A5変型判; 109ページ 里文出版 3,360円(税込)
- 銀化した古代ガラスの魅力を伝える写真集。とんぼ玉ではなく、ガラス器の紹介です。紀元前15世紀~紀元後10世紀頃の古代ガラス器を多数収録。
銀化したローマン・グラスがお好きな方、古代ガラスに興味をお持ちの方等、楽しめると思います。
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- ―内容―
1 前2000年紀のガラス(メソポタミア、シリア、エジプト)
2 前1000年紀のガラス(メソポタミア、シリア、フェニキア、アケメネス朝ペルシア、ヘレニズム)
3 後1000年紀のガラス(ローマ鋳造モザイク・ガラス、ローマ~ビザンチンの吹きガラス、ササン朝ペルシア、イスラムのガラス)
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